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● 第十三回 大西民子賞(2012年)・大沢美也子
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大沢美也子・昭和58年誕生。東京都在住。「波濤短歌会」に入会。
- 作品「優しい魔法」詠・30首
- ● 不器用な字のラブレター読み返しあの日にきみにまた恋をする
- ● 封筒に手紙と一緒に眠っていた押し花から卒業式の香り漂う
- ● ユニフォーム着ていた君はいけないけどエールを送る時空を超えて
- ● 柔らかな風がくすぐる思い出は君の背中についた花びら
- ● 手の温み確かめながら帰る道みえない明日を夕日に溶か
- ● 「冬は父、春はやっぱり母のよう」あの日の言葉ふと思い出す
- ● 胸の中の引き出しをそっと開けてみる今だから響く言葉さがして
- ● 先生のあの一言は贈りもの「少しズレてる視点が良いね」
- ● 個性とは花の品種のようなもの皆違っているから楽し
- ● お互いの個性それぞれ認め合い色とりどりの花壇をつくろう
- ● 移り変わる心の景色をシャッターにとらえたものはこの日記だけ
- ● 数々のできごと記した一冊のノートを愛しく抱きしめてみる
- ● 屋上にのぼると空が近いから素直な想いを歌にできそう
- ● 見下ろせば都心へ続く川沿いが今日はさくらのいろに霞める
- ● 春の精の優しい魔法にかけられてほのかに染まる私の頬も
- ● このメイクこのヘアーにはスカートでふんわり気分も春色になる
- ● 仕上げには魔法がずっと続くよう甘いローズの香りを纏う
- ● お互いの心が通じ合えた日は音符が跳ねるいつもの街に
- ● イヤホンを二人で片方ずつつけるそんな時間にホッと安らぐ
- ● 「あと何日？」きみと数える満開の桜に出逢う日を楽しみに
- ● 誰とでも仲良くなれる魔法ならかけてあげたい彼の地の人に
- ● 夕焼けに染まる窓開け懐かしい潮の香りに「ただいま」と言う
- ● 君の名を呟けばきっと潮風が遠い岸まで運んでくれ
- ● 故郷の海は原点落日に煌めく波の様に生きたい
- ● 鮮やかな夕焼け色と深い藍こころに残るどちらのいろも
- ● 藍色に変わる東の空の果て涙のような星をみつけた
- ● 一粒だけこぼれて落ちたあの涙忘れられずに夜空を仰ぐ
- ● 儚げな昴の光は宇宙の中に消え入りそうな美を宿してる
- ● 守りたい笑顔があるから今日もまた風に祈ろう明日の幸せ
- ● 見つめ合う昴と私のコンタクト優しく照らせすべての人を
